みなさんは毎週土日に国際連合大学前で行われている
Farmer's Market(ファーマーズ マーケット)を知っていますか?
国際連合大学は渋谷区神宮前にある建物ですが、そこで毎週、
色々な産地の野菜や果物などが販売されています。
規模も大きなもので、毎回にぎわいを見せているFarmer's Market。
なんと正規スタッフ5人で運営しているそうです!
今回はFarmer's Marketの運営者である
田中佑資さんにお話を聞いてみました。


まず、田中さんがこのお仕事に興味を持ったきっかけを教えてください。

僕の祖父母が岡山で農家をしていて、
そこでとれた野菜を食べて育ってきたんです。
大学生になって東京で独り暮らしを始めると、
祖父母が野菜を送ってくれました。
実家では母親が料理した後の姿しか見てなかったけど、
野菜が送られてくると、野菜そのままの姿を見れる。
今までご飯を食べてきているけど、
「野菜がどうやって育ってきたか、全然知らないな?」って、
ある日ふと思ったんです。
それで自分なりに知りたいと思って、
久しぶりに祖父母の家に帰って農作業を手伝って、
本なども読むようになって。
やっぱり農業って大切だし、一回手伝った時に
結構おもしろかったんですよね。
普段触れられないものがそこにあるし、
大変だけど自然の中で作業するのが楽しかったので、
色んな農家さんのところに行ってみようと思いました。
それで、学生の間の夏休みなどに、
農家さんのところに泊めさせてもらって
農作業を手伝うということをやってみたんですよ。
今、農業をやってみたいって人も
いっぱい出てきているじゃないですか。
みんなが農家にならなきゃいけないってことはないけど、
みんなが自然と出会って、食べてみるとか
作ってみるということを、求めているなって思って。
じゃあどうやったらそれができるかな?と考えたとき、
僕自身は今すぐ農家になりたいかっていうと、
そういうわけでもないなって。
東京でもできることを何かしたいなと思ったわけです。


Farmer's Marketの運営はどういった団体が行っているんですか。

Farmer's Market Associationというものがやっています。

それは会社ですか?

今NPOに申請中ですね。
もともとは会社って言っていいんだと思うんだけど。
ここは2社が共同でやっていて、
僕はその片方の会社で働いています。


その会社に入ったきっかけというのは、
Farmer's Marketの運営をやっていたからですか?

その時はFarmer's Marketみたいなことは
全然やっていませんでした。
僕はいわゆる就職活動っていうのを全くしてないんです。
当時バイトしていた会社で働こうかなとか、
友達と一緒になんかしようと思っていたんですけど、
なかなか思うようにいかない部分があって、
今の会社の代表に相談しに行ったことがあったんですよ。
それで「お前、それじゃだめだ」ってぶった切られて。
例えばビジネスを立ち上げたいとすれば、
「本当にやりたければ、成功するしないに関わらず
何かアクションを起こしているはずだし、
それがないってことは君に才能がないか、
本当はそれがやりたくないかのどちらかだよ」、って言われて、
あーって思った。そこまでじゃないんだなーと。
仲間がいて、学べる環境で、あまり縛られずに楽しくできる。
けど、それでも結果を求められる、ちゃんと責任のある形が
僕の求めていることだなと思ったんで。
そこで、「これから会社を立ち上げるから
そこで何でもやってみればいいんじゃない?」
ということで拾ってもらったんです。

立ち上げのとき、
Farmer's Marketの企画を持っていた人はどなたなんですか?

この会社は、最初からFarmer's Marketみたいなことをしようと、
思って立ちあがった会社じゃなかったんです。
会社の本業は編集とか、デザインとか企画をする会社で、
雑誌をつくったりとか、ウェブサイトつくったりとか。
あとクライアントさんがいる場合、まず何がしたいのか
っていうコンサルティングみたいなところから始まって、
企画や戦略を立てて、実際それでよければ作る
って所までやっています。
僕は農業に興味があったから、農業でなんかやってみよう
ってことで、会社のイベントで
野菜をちょっと売らせてもらったりしていて。
そうしているうちに、
Farmer's Marketをやれることになったんです。


Farmer's Marketは形ができてからどれくらい経ちますか?

国連大学前は1年半くらい。
もう一か所GYRE(ジャイル)って場所があって、
そこの方が早くて2年4カ月くらい。


立ち上げ当初で大変だったことはありますか?

最初は、正直言ってすごい色んな事がありすぎて、
あんまり覚えてないんです。
行ってみたら分かるんだけど、GYREってビルの地下は
そんな広くないのね。出店先も5、6店舗だったし、
人も全然来ない。月1回だったし。
半年経って月2回やることになって、
そのペースでそっちは持続しているけれど、
もともとずっと毎週やりたいなーって思っていて。
月1回や2回だと、どうしてもイベントになってしまう。
生活って毎日のもので、食べ物っていうのは
コンスタンストに必要になる。
月1回あっても頼りになんないっていうか。
毎週やれたらいいなーというときに、立ち上げの費用を
助成してもらえることになり、国連大学前で
やらせてもらえることになったわけです。

ここに出店しているお店はどうやって決めているのですか?

最初にGYREの方を始めた時は、色んな方法でやりましたね。
ネットで探してアプローチしたりとか、
知り合いに紹介してもらったりとか。

アプローチするときにどんな風に説明していきましたか?

野菜や果物を直接売ってもらう場所です、
お客さんを作ってもらう、ファンを作ってもらう場所です、
と言いました。
反応はそれぞれだけど、農家さんは厳しかったね。
こっちに来るのが大変だし、ただでさえ忙しいのに…
みたいな感じはあった。でもちょっと続けていくと、
それでも出店してくれる人がいたり、
向こうから問い合わせをくれるようになったりとかね。

メディアの露出に対してはプレスリリースなどの戦略をしましたか?

リリースは定期的に打っています。
でも今はもうある種農業ブームだから、
取材も向こうからどんどん来てくれる。
最初は新聞に広告も入れたし折り込みもやったし、
近隣にポスティングもした。
それでも今よりなかなか人は来てくれなかったけどね。
今は、広告は出してない。
会場でのコミュニケーションを通してファンの方をつくってく、
僕らのコンセプトをわかってくれて、定期的に来てくれる人を
つくっていかなきゃいけないから。
毎週来てくれる人がいたら、
なんとなく顔がわかるじゃないですか。
そうしたら定期的に挨拶するようにして、
名前教えてもらったりとかして、関係を積み重ねていく。
あとはウェブだよね。ウェブを見てくれる人には
自分たちのサイトで情報を発信したり、
あとtwitterとメールマガジンをうまく使って
情報を回していくようなことをしています。

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