ドリパスはどういう方に支持されているのですか?

ドリパスの魅力って、ある嗜好に沿った1つのコミュニティで、
イベントを作っていく、というところにあると思います。
例えば、普通の興行ではそこまで成績が良くなかった作品が、
ドリパスのイベントとして上映することで、
その作品の熱心なファンだけが集まり、
会場内大盛り上がりする、ということもよくありますね。


たくさんの劇場の中から、どのようにイベント開催地を決めるのですか?

基本的にはそれぞれの劇場のスタッフから企画の持ち込みがあるので、
その場合はその劇場で行います。
ただ、ドリパスからイベントを劇場に提案する際、
どの劇場でやるのがいいか、という問題も出てきます。
その際は、"その地域性に合うもの"っていう点を大事にしています。
新宿と銀座では、なんとなく空気が違っていますよね。
地域だけではなくジャンルのバランス等々、
様々なことを、考えてないといけません。
最近では、
東京のように劇場に行く習慣が少ない地方からの依頼もよくあり、
その都度ニーズを聞きながらイベントを企画しています。

ドリパスを運営する上で一番大事にしていることはなんですか?

ドリパスを運営する上で心がけていることは、
お客さん視点で考えること、ですね。
ビジネスをすると、いろいろな人が関わるので、
利害が一致しない場合がよくあります。
そこで迷った時には、必ず"お客さん"を大事にし続けることですね。
チケット購入方法や、イベントのターゲットが 30代の映画好き、
というものが多いので、お客さんはやはり30代が多いです。
学生はまだそんなに多くないです。

実際にイベントに足を運ばれることはありますか?

あります。
やっぱり、自分が作ったイベントに、どういうお客さんが来て、
会場がどんな雰囲気で、っていうのは気になります。

一番感動したのは、どんなイベントでしたか?

今まで実際に足を運んで、一番感動したのは、
1980年代のアニメで "AKIRA" っていう、
ファンがすごく多い作品のイベントをやった時ですかね。
結構古いものなので、フィルムがズタズタだったのですが、
タイトルの出た瞬間に会場が一気に熱を帯びて
歓声に近いものが上がりました。
普通映画で、タイトルが出たときに拍手起きることって、
そうそうないじゃないですか。
その時は会場が一つになったような感じでしたね。

今一番アンテナを張っていることってなんですか?

ネットサービスにはずっと関心を置いています。
本国のアメリカのサイトをよくチェックしています。
SNSは今、一番移り変わりが激しくて、おもしろいですね。
どちらかというと、自分自身でSNSサービスを受ける、
というよりは、移り変わりを チェックする、という感じです。
ですが、特にtwitterでサービスを通しての 人との出会い、
つながりといったようなものもあります。
その人脈で仕事が成立することもありますね。

お話を伺うと、本当に楽しんで仕事をやられているんですね。

仕事は常に楽しんでやっています。趣味=仕事に近い感覚ですね。
趣味と仕事を分ける必要もないと思うので。
好きなことを仕事にすると、嫌な部分が見えてしまう、
ということもあるのだけど、それは誰にでも あることだと思うんです。
それを乗り越えるか、乗り越えないか、が問題なのかな。
仕事の好きな部分しかできない人は、アマチュアとして好きなだけで、
プロとしては好きにはなれないのだろうな、って思います。

プロとアマチュアの違い…

アマチュアは自分の好きなもので、"自分を"気持ちよくさせられる人。
プロは、"他人"に気持ち良くなってもらうことができる人。
好きなものを他人に向けられる人なのです。
これは大きな違いで、趣味と仕事の話につながってきますね。
アマチュアの中には、自分にしか向けられないものを
"なんでこれをわかってくれないんだ、"って言って
周りのせいにしてしまう人がいます。
それは一番よくない。
そういう人とはいっしょに仕事をしたくないですね。
何にしてもそうなのだけど、本当に素晴らしい人は、
きちんと"人"ができている人ですね。

今後どんなことをしていく予定ですか?

これからドリパスは、アメリカに進出しようと思っています。
アメリカも映画館は大きいのに、客席がガラガラなことがよくあって、
すごくもったいないな、って。
ドリパスというのは、映画館に人を呼び込むためのシステムなのだけど
アメリカにはドリパスのようなシステムがまだないので、
ぜひアメリカでやりたいな、って思っています

この時代だからこそできることですね。

ドリパスの運営の根本である、ネットサービスのいいところは、
国境がない、というところです。
アメリカでもドリパスができたら、
日米の交流がドリパスを通じてできると思うので、
もっといいサービスを提供できると思います。
現在、アメリカ進出に向けて着々と準備中です。

五十嵐さんにとってのプロデュースとはなんですか?

日本は安易にプロデューサーっていう名前を付けすぎだと思います。
とりあえず名前つけとけば、何かやっている風に見える感じがして、
すごく氾濫しすぎています。
そもそも、プロデュースって語源を辿ると、
"推し進める"という意味があります。
つまり、プロデューサーとは、
大きな目標に向かって引っ張る人のことなのです。
大きな目標に向かって引っ張るために必要なものは、
たくさんの人の"好き" をつなげること、
同じ方向にベクトルを向けて推し進めること。
例えば、コーヒー一杯をお客さんに提供する時でも、
たくさんの人の"好き"のベクトルを同じ方向に向けて、
お客さんに最高の一杯を提供すること。
これがプロデュースだと思います。

inserted by FC2 system