多摩ユースオーケストラは1996年に創設されたオーケストラ団体です。
団員は小学生から25歳くらいで構成されており、
月3~4回の活動をしています。
今回は、多摩ユースオーケストラの代表である山本悦子さんに
お話を聞きました。
山本さんは多摩ユースオーケストラの創設者であり、
現在も団体のために日々奮闘なさっています。
そんな山本さんの考える「プロデュース」とは何なのか、
のぞいてみましょう!



どうしてこの団体を作ろうと思ったのですか?

私は、音楽っていうのは人間の生活に必要なものだと思っています。
悲しいときには癒してくれて、楽しい時には喜びを倍にしてくれる。
その音楽を使って、子供たちと一緒に、
なにか社会に貢献できないかと考えていました。
そんな時に、都心で活動をしている、
高校生から大学生で編成されたオーケストラが多摩に来たんです。
その団体の演奏は、子供であっても聴く人をすごく感動させて、
明日も頑張ろうって思わせてくれるような演奏で、
素晴らしいと思いました。
こんな素晴らしいものが多摩にもあったら良いなと思い、
知り合いの方々の協力を得て、多摩ユースオーケストラを
作ろうと決意しました。
多摩市からも、何か市民が積極的に関われるものをやりたい
という声があったので、「もうこれしかない」と思いましたね。
その時、多摩市の方からは、「上手な人達だけを集めて、
大人のオーケストラを作りましょう」などの案があったのですが、
私の気持ちの中には、次代を担う子供達を育てるような団体を作りたい
という思いがあったので、子供たちのためのオーケストラを
作りたいと提案しました。

代表の仕事内容について教えてください。

細かいことを挙げれば、会場の手配や練習表の作成などがあります。
でも、こういった仕事は、団員の保護者の方も手伝ってくれますし、
みんなで分担してやっている感じです。
だから、私が一番やらなくてはならないことは、
自分の持っているビジョンをブレさせず、
みんなを引っ張っていくことですね。

山本さんの考えるビジョンとはどのようなものですか?

この団体は、次の世代を担う子供たちを育てるための団体なので、
子供たちのためを第一に考えて行動するようにしています。
常にそのことを念頭に置いて、モチベーションを持ち続けるように、
また、ビジョンがブレることのないようにしています。
その一つの良い例として、ある権威のある先生が、
子供たちの選別を始めたんですね。
この子はこの程度だから、別の日にレッスンしてから
オーケストラに参加させた方がいいとか。
先生としては、やはりオーケストラの完成度が
自分の名声に関係してくると考えますよね。
でも、私としてはこの団体を、あくまで市民活動として
確立させようとしており、ビジネスのためにやっている訳では
なかったんです。それで、団体の方向性をきちんとお話して、
「こういう風にやりたい」とお願いしました。
結局、「それは、僕の考えとは違う」っていうことを
言われてしまいましたが。
ここはちょっと難しい所なんですけど、世間的には権威のある先生に
NGを出すのは、なかなか怖いことだと思います。
このつながりを切ってしまったら、私たちの活動がマイナスの方に
行ってしまうのではないか、という怖れは生じますよね、普通。
だけど、私はそういうのは怖くなかったです。
やっぱり、「何のためにやっているのか」という部分が
熱くあったので。「ここだけは譲れない」というものを
一つ持っていた方が、より自分の目指すものを
見出していけるんじゃないかと思います。


ビジョンをブレさせないことがこの団体を維持していく一つの鍵なんですね

そうですね。
たまに「どうして多摩ユースオーケストラさんは
円滑な運営ができるのですか」って聞かれることがあるんですけど、
私はまず一言、「なんのためにやってらっしゃるのですか?」
と聞きます。
プロデュースをする上で一番見失いがちなことですよね。
色々な人が美味しいものぶら下げて色々言ってくるし、
目の前にぶら下げられたらそっちに行っちゃいそうになりますもん。



代表の細かい仕事は
団員の保護者の方と分担してやっているとのことですが、
分担してやるよりも、自分でやってしまった方が早い!
と思ったことはありませんか?

みんな同じ思いで活動をしているので、具体的な作業の速い遅いとか
丁寧さとかは、どうでもいいことだと思います。
自分でやっちゃった方が早いというよりも、
相手に頼む所に持って行くまでの準備が大変だなと感じることは
ありますけど。でもやっぱり色んな人と思いを分かち合いたいですし、
分担して作業をした方がいいと思っています。
分担して作業する点で心配なことは、任せた時に自分の考えと
ズレた結果が返ってくるんじゃないかってことだと思うんですね。
だけど、頼んだ相手から、
「こういう風にしたらいいんじゃないですか?」
とかっていう指摘があった時には、謙虚に聞く姿勢は
必要だと思います。
人に頼む時は、そこを許容する力が大事だと思いますね。
その辺りはプロデュースとはまた別のスキルで、
マネジメント能力にかかってくると思うんです。
マネジメントも上手くこなしていけば、みんなで分担しながら、
同じ目的に向かって進んで行けると思います。

代表になって、大変だと思ったことはありますか?


大変って思うのは、やっぱり子供達の気持ちを大切にする
っていうことですね。仕事を大変と思ったことはないです。
いろんな人と一対一のつながりがあるから、
そういうのを大切にすることが、やりがいがあるかなって思います。
大変っていうのはそういう風に取らせて頂いてもいいですか?
困難というよりも何がとても大変にやりがいがあるか、ということで。

団体を設立した時の費用はどうやって調達しましたか?


まず、会場は無料の所を探しました。
そして、皆さんが集まってきたときに参加費を徴収して、
先生にはお礼を払ったりとか、楽器や楽譜を買ったり、
プログラムを作ったりすることは、その中からやりくりをしました。
あとは、保護者の方の熱意があって、
プログラムに広告を取ってきて下さった広告収入とかもあります。
それから、公の助成金ですね。
文化庁へ助成金を申請したりとか、公共的なものに申請したりとか。
それらの申請はほとんど採択されてきました。
ビジョンをはっきりさせ、何のためにやっているか
ということをちゃんと伝えれば、助成金を出す方も、
そういったちゃんとしたものにお金を出したい
というところがあるんですね。

この団体では、交流演奏会をやっていると伺ったのですが、
その経緯を教えてください。


この交流演奏会は、
2007年にドイツに演奏ツアーに行ったことがきっかけでした。
その時に交流のあったユースオーケストラの方が日本に来られる
というので、じゃあ是非、多摩にも来て下さいということで
お話をしたんです。
「次に繋げる」というのが、私のひとつのテーマなので、
一回ドイツに行ってそういう演奏会をしたら、
それを次に繋げるっていうのが凄く大事なことだと思っています。



これから何かプロデュースしようとしている学生に
メッセージをお願いします。


私は、みんなの中から出て何かやるっていうのは、
その場での自分のプロデュースだと思っています。
例えば、誰かが多摩ユースで何かする時は、
その人自身をプロデュースするっていう風に
私は理解しているんですね。
なので、この団体に関して言えば、メンバーが何をしたい、
いわゆる何かをプロデュースしてみたいって言った場合には、
大いにどんどんやって欲しいと思いますね。
自分をプロデュースするっていうことは、
こういう大きなものをプロデュースすることと同じで、
ある程度知識もないとできないし、これだけの人数を説得するものを
仕上げていかなければいけないわけだから、まずは実践。
どんどんやっていっていただけたらと思います。
私としては、ユースのビジョンにあった内容なら、
応援したいと思っています


↓多摩ユースオーケストラをもっと知りたい方はこちら!
【HP】http://www16.ocn.ne.jp/~youthoke/


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