今回は、株式会社ファーストロングの代表取締役である
宇佐美剛泰さんにお話をお伺いしました!
宇佐美さんは東京、大阪、名古屋で
数々のフリーペーパーの立ち上げに携わってきたそうです。
今回はその中でも、印象に残っているフリーペーパーを
1つピックアップしていただき、
制作過程やメンバーのまとめ方などをお聞きしました!
このフリーペーパーは「学生の生の声を届ける」ことを
コンセプトにしているものです。
それでは宇佐美さんにお話をお聞きしたいと思います。


【宇佐美剛泰さんプロフィール】
1976年生まれ、愛知県出身。
メーカーや量販などの経験を経て、2004年に独立。
有限会社エスパスジャパンの代表として、
営業コンサルティング・人事採用・飲食マネジメントなどを行う。
2009年には 株式会社ファーストロングを設立し、
WEBを中心としたマネジメントを開始する。


フリーペーパーを創刊することになった経緯を教えてください。

このフリーペーパーは、優良職業紹介の会社の事業として
行ったものでした。
会社として学生さんとの接点を作ることが必要不可欠であり、
それに加えて、学生さんの手元に残るインパクトのあるものを
作りたいという思いがありました。
そこで、学生さんと一緒にフリーペーパーを作ることにしたのです。


制作に携わる学生は、どのように集まったのですか?

元々イベント系の団体に所属していた学生たちや、mixiやGREE
などのSNSで呼びかけて集まった学生たちが中心でした。
集まった子たちには、最初からそれぞれにきちんとした役割を与え、
1年を通してやりたい企画をいくつか出してもらうことをしました。
あとは、初回の集まりの時に好きな媒体を持ってきてもらい、
それを制作の基盤にして、レイアウトや企画の参考にさせたりも
していましたね。デザインはできる人を集めようということで、
学生自身が、芸術系の専門学校や大学に通っている友人に
お願いに行くということをやっていたかな。
カメラマンもカメラのコンテストをやっている学生団体に
お願いをしに行きました。


会社の事業として行っていたそうですが、
学生が主体的に動いていたのですか?

主体的に動いていましたね。
会社側は、出版社の人に月2回くらい時間を取ってもらい、
学生が自身のやっていることがこれでいいのかを
話せる場を作っていました。そこから色々と刺激を受けて、
自発的に動いていた気はします。
デザインも、プロの人に編集の仕方を教えてもらうという
機会を設けました。なかなか現場で働いている人たちの指導を
受けられることは無いので、みんな「楽しい!」
と言っていましたよ。
ただ、全員がフリーペーパーの制作が未経験だった
ということもあり、作業は圧倒的に遅かったですね。


学生に与えた役割というのは、
具体的にどのようなものだったのですか?

企画、デザイン、カメラで分けていました。
人数は、企画は3チームあって、1チーム4名、
デザインとカメラマンはそれぞれ2名ずつでした。

カメラマンとデザインは企画チームからの指示で動くのですが、
それとは別に表紙を作る権限を与えていました。
あと、カメラマンにはテーマが男女どちらに向けたものなのか
考えてお願いするように言っていましたね。
男性と女性で感性が違うので、
同じ写真を撮っても印象が大分違うのです。
例えば、可愛い女の子を撮るとなると、男のカメラマンの方が良い。
逆に恋愛企画とかは、女の子の読者が多いので女の子目線で
撮影すると反応が良いのです。


フリーペーパーを発行するまで、
個々のチームはどのように動いていたのですか?

まず企画チームに手書きでラフデザインを書いてもらいます。
それに基づいてどんな写真が必要なのか話し合い、
カメラマンに指示を出しつつスケジュールを組んでいく。
学生の子たちが、予備日を考えないでスケジュールを組む
ということもありました。
天気が悪かったら良い写真は撮れないので、
外で取材をする時には、「その日が雨だったらどうするの?」
と確認します。
「予備日も雨だったらどうするのか。」
「代案は用意しているのか。」
と聞くと、結構そこまで考えていなかったりするのです。

デザインチームは企画チームから上がってきたラフデザインを元に、
文字や写真の入っていない状態でまずレイアウトを作ります。
漫画でいうコマ割りみたいな感じかな。
これがないと、個々の企画で写真や見出しのサイズが
バラバラになってしまいます。
それから、各チームの作業が同時進行で行えなくなります。
同時進行で進めるためにも、このやり方でやっていました。
あとは、企画チームが取材している間に表紙を作って、
原稿が上がってきたら誌面デザインを作ります。
デザインチームが作業をしている間に、企画チームは
配布ルートの確認とか、物品協賛の獲得をしていましたね。
いつ何をやるのかという流れが割とはっきりしていたと思います。


それから、次号のテーマも早めに考えます。
次号の予告は編集後記の部分に付けたりします。
通期でテーマを考えないのなら、
「毎号名前を変えて発行すれば良いじゃん。」
ということになってしまいますから。


チームの編成は、宇佐美さんが考えたのですか?

カメラとデザインは技術の問題があるから仕方がないのですが、
企画の方は学生同士の相性で決めていましたね。
それから、企画長は毎号変えること、編集長は1年統一
というのも決めていました。編集長には、全部の企画に携わり、
スケジュールの確認を常にする役割を与えていました。
例えば、企画チームが取材に行くことになったら、
必ずメンバーに「いってらっしゃい。」と電話もしくはメールを
して、取材が終わったら「お疲れ様でした。」の連絡をする。
もし取材の連絡が入ってこなかったら、
確認の連絡を必ずしてもらっていました。それから、
各チームの文章が上がってきたら文字のチェックをしたり、
デザインと表紙のことを一緒に考えたりするのも編集長の役割です。


編集長は全体をまとめていく役割なのですね。

あとは、企画が進んでいないチームがあれば、
社員がその企画をつぶしにかかるので、その時は企画チームの学生を
守らせる立場に置きました。僕ら社員側は企画チームの学生に直接
「ボツにするよ。」ということは言わずに、
チームの学生を隣に座らせて、ひたすら編集長を責める。
企画チームの子たちには「指示が悪かっただけだから、
編集長がいけない。」ということを露骨に言う。
そうすると、自分のために叱られている編集長に対して
「悪いな。」という思いが生じるので、
チームの学生が動くようになっていくのです。
企業と一緒に仕事をしているのだから、
企業らしさを見せた方が刺激になるのじゃないかなと思いました。
だからこそ、いやらしい部分も露骨に見せようと僕らの方で判断して
やっていましたね。


inserted by FC2 system